2008年5月31日土曜日

メタボ健診は膨れ上がる医療費削減に効果があるのだろうか?



28日の日経記事からメモ。厚生労働省が医療費削減のためとして打ち出した新機軸だが、どう見てもトータルコストが余分に掛かるような気がしてならない。厚生労働省のお役人はちゃんと算数が出来るのだろうか。

抜粋:
  1. 全国民を対象に「特定健診・保健指導制度」(通称メタボ健診)が始まった。世界でどの国も試したことのない壮大な実験。
  2. コマツでは健診費用が二倍になった。江崎グリコでは社員食堂で「脱メタボランチ」が出される。寒天や麦が混じったご飯でお代わりは認められない。
  3. 企業がこぞってメタボに取り組むのは、受診率や改善状況に応じて後期高齢者医療制度への支援金が増減するから。つまりメタボ社員が増えると最大10%の加算を強いられる。2000人規模の健保組合では1000万円前後の負担増になる。社員の体型をめぐる「コストカット競争」が続く。
  4. 在宅ケアに力を注ぐ長野県のある村は高齢者一人あたりの医療費が全国平均の7割という優等生だが、在宅ケアの代わりになくした健診を復活させないと200万円のペナルティーを取られてしまう。
  5. 「基準値だけが一人歩きしてしまった」と松澤院長(メタボ基準の作成者)。
  6. 厚生労働省は医療のコスト増加を、企業や自治体の負担増で食い止めようとしている。
  7. 東海大学の大櫛陽一教授が実施した70万人の試算では、メタボ健診で二人に一人は病院通いを強いられ、逆に医療費は年間4−5兆円増えるという。

いろいろ計算の仕方はあるだろうが、メタボ健診が生活習慣病の予防に効果があったとして、その結果国民が余分に長生きすることになれば、その分余分に医療費が増えるのは当たり前だろう。ライフスタイルは個人の自由。その結果早く死んでしまうのなら、それも自己責任だ。ブロイラーみたいに無理やり個体の「体重管理」をして、無理やり長生きさせて、医療費が増えるからといって増税したり、またぞろヘンな「健診」を義務付ける。これじゃイタチごっこ。

話は飛ぶが、昔の日立の冷蔵庫には頑丈なモーターが付いていた。冷蔵庫が錆びだらけになって使えなくなっても日立製のモーターだけはちゃんと動いている、これこそ日立だと技術者は自慢していたらしいが、これは設計思想がそもそも間違っている。他の部品に比べて長持ちしすぎるモーターは無駄以外の何ものでもない。人間の体も同じことで、年をとるとたいてい全部一緒にダメになるように神様は設計なさっている。それを人間が恐れ多くも胴体部分の内臓についてだけ取っ替えたり「予防健診」なぞをして無理やり「長持ち」させてしまうと、取っ替えの効かない脳細胞が相対的に一番早くダメになるのは自然の理。90歳以上の高齢者の半数に認知症の障害が見られるという。

メタボ健診は、ニッポンを認知症だが体だけはピンピンの後期高齢者だらけにしてしまうのではないか。膨大な社会コストが発生する。

2008年5月25日日曜日

日経:完ぺきな安全を求めるあまり、大勢の命を危険にさらしている日本の医療



今朝の日経「蘇れ医療」よりメモ。

抜粋:
  1. 世界では一、二年に一つのペースで新しい感染症が姿を現し、人類を脅かしている。ところが「感染症は克服した」という思いこみで、日本は歩みをとめ、予防接種を軽んじるようになった。
  2. 80−90年代、副作用被害訴訟問題で敗訴を重ねた国は、新たな感染症対策の導入をためらい、今や制度も意識も「後進国」に。世界からは「はしか輸出国」のレッテルを貼られ、結核の感染率も米国の約四倍で途上国並み。
  3. 乳幼児が命を落とすこともある細菌性髄膜炎に毎年約千人がかかる。ワクチンは二十年前に出来ており、先進国ではこの感染症は激減し、世界で百カ国以上で使われているが日本ではまだ使えない。世界標準より五倍厳しい独自の安全基準が使用を阻む。「かからなくても済む病気で多くの児が犠牲になっている」(日赤センター医師)。
  4. 完ぺきな安全性を求めるあまり、皮肉にも大勢の命を危険にさらしてしまう、萎縮した感染症行政には、みんなで社会を守るという視点が欠ける。

お役人の事なかれ主義も問題だが、ニッポンでは何が何でも「被害者」が絶対的に可哀想という「100%安全信仰」みたいなものが強すぎ。これに迎合してマスコミは○○による「被害者」を大々的に取りあげ、嬉々として犯人捜しをやる。その○○のおかげで救われたケースは全く無視。これでは誰も責任追及をおそれ新しいことはやらなくなってしまう。冷静な判断が出来なくなる現象はBSEの例で見られる。

2008年5月24日土曜日

日経「ニッポン農政の不思議」……食育おばさん必読!



5月21日と22日の日経記事。知っている人には常識的な内容だが、国産農産物への思いこみの強い「食育おばさん」たちは知らない内容だと思う。メモ。

抜粋:
  1. コメの価格が上がっている。でも国際価格の上昇が理由ではない。政府が農家保護のための緊急対策として備蓄米を買い増すことを決め、価格上げを誘導した効果が店頭に表れ始めているためだ。
  2. 日本人が一年間に食べるコメの量は、2006年度で一人あたり61キログラム。1962年度の半分程度。コメがたりない世界とは逆に、日本では恒常的にコメが余る。それを避けるために水田の四割でコメを作らない減反政策で生産量を強引に減らし、価格を政府が支える。
  3. 価格が安い世界のコメ取引から日本のコメを切り離し、伝統的なコメ作りを保護するというのが日本の農業政策の絶対理念。コメを聖域と位置づけ、市場メカニズムから遠ざける。日本のコメの価格は意図的に導かれた結果だ。
  4. コメ余りの日本がコメ不足の世界から大量にコメを輸入している不思議。コメ市場を全面的に開放しない代わりとして日本政府が受け入れた「ミニマムアクセス」制度。国内年間消費量の一割に当たる77万トンを毎年輸入している。
  5. 国内外から買い上げて政府が貯め込んだコメは合計230万トン。輸入米は加工用や資料用に回しても余ってしまう。多額の予算が注がれている。
  6. 世界が米不足と価格高騰に悩む中、日本は生産を無理やり減らし余る輸入米の取り扱いに四苦八苦。FTAでは「国内農業保護」がいつも足枷になる。不思議だらけの「コメ大国」。
  7. 乳製品についても同じ。バターの品切れが続くがチーズはスーパーで売っている。バターを輸入すると1キロの600円のバターが通関後は三倍の1764円になる。一方チーズの関税は29.8%。チーズは国内生産が少なく需要の9割を輸入しているから(国内農家保護のための)高関税が不要なのだ。食物の自給率を高めるため国内農家を高関税で保護するのがニッポンの農業政策の中核だが、今回は国の保護が手厚い品目ほど品薄感が強まるという皮肉な事態となっている。
  8. 小麦についてもそう。政府は輸入小麦の売り渡し価格を30%引き上げ、トンあたり53000円だった価格が69000円に跳ね上がった。しかし値上げ分を上回るトンあたり1万7000円の国内農家への補助金相当額が政府売り渡し価格の中に含まれている。その他に税金で負担する年間900億円の農家への補助金もある。国民が払っている「見えないコスト」は膨大な金額に上る。

農業関係者は家族や関連団体を含めると1900万票を握る一大政治勢力だ。NHKなどのマスコミ、さらに自民党なんかを操るのは朝飯前。民主党や共産党も彼らの集票力の前にはひれ伏すばかり。しわ寄せは全部政治力を持たない都市弱者層(パートタイマーやワーキングプア、高齢者・年金生活者など)に転嫁される。現在ニッポンに蔓延している「攘夷思想」は農村ウヨがばらまいているものであるが、それはそうした方が彼らが儲かるという純粋に経済的な理由によるのだ。ナイーブな食育おばさん達は、このことに気がついているのであろうか。

2008年5月22日木曜日

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2008年5月21日水曜日

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2008年5月20日火曜日

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